「わかりません・・・。」

答えた声が震える。
否が応にも、額から顔に伝う汗が私の感情を表してしまう。

2017年末、私は路頭に迷っていた。
大学を卒業してからというもの、定職につかなかった私は、アルバイトを転々としながら、実家で親のスネをかじり尽くすような生活を送っていた。

—このままじゃだめだ。
そんなありきたりな言葉が頭をよぎる。
だが、だからと言ってなにか新しいことを始めるでもない。
食べて寝て、朦朧としたまま毎日を浪費する私が生きる意味って?
だからといって、何か新しい目標を探すでもない。

「ズッティー、あんたいい加減にこれからどうするか決めたら?」

母から声がかかる。
もう何回、何十回と聞いたセリフだ。

「そうだね。そろそろ決めないとね。」

この答えも、同じだけ発してきたセリフだ。
どうするか決めるって、どうしようもない。
どうしようもないから、決めようがない。

最近、昔の友人から、結婚や、出産や、そんな幸せな話を聞くようになった。
あんなに子供みたいだった奴が、親に。
あんなに意地悪だった奴が、幸せに。
あんなに好きだった人が・・・。
みんな、それぞれの人生を歩んでいる。
私は、立ち止まったまま。
いつかここから歩み出せる日が来るんだろうか?
そんなことを考えてもやはり、私は何もできない。

でも、その日は突然やってきた。

「ズッティー、あんたアナウンス部だったでしょう?」

いつも通り、アルバイトを終えて家に帰ると、唐突に母が言い出した。

「・・・それがなに?」
「FM OH!ってラジオ局が、DJオーディションをするらしいから、応募しておいたわよ。あんまりどこか知らないけど。」
「えっ?どうして」
「どうしても何も、あんた自分じゃ何にもしないじゃない!」
「それは・・・」
「あんたねぇ、いつまでもあんたの面倒見てる訳にもいかないんだから、面接があるらしいから行ってきなさい!」
「でも、私、DJなんて・・・」
「あんたがアナウンス部にいた時のこと、覚えてる?」
「・・・」
「私はね、あの頃のズッティー、好きだったんだ。」
「・・・」
「あの時のあんたが、一番輝いてた。」

輝いてた、確かにそうかもしれない。
本当にアナウンサーを目指していたわけじゃなかった。
だけど、今までの人生の中で唯一と言っていいほど、アナウンス部のみんなといることは幸せだった。いろんな出来事があって、この絆はずっと続くんだと、そう思っていた。
でも、そう思っていたのは、私だけだった。

卒業をすれば、それっきり。それぞれの人生がまた始まる。
全国各地に散らばってしまった仲間たちと、連絡を取ることすらなくなってしまった。
輝きは、過去のものとなってしまった。
だから、あの頃のことを思い出すのは辛い。
今の自分がより惨めに感じるから。

「私、向いてないから。」
「いいじゃないの!ダメでもともとよ!」
「ダメもとって・・・」
「いいから!!とにかく行きなさい!行けばまだこの家に居ていいから。」

そう言われると何も言い返せない。
大学を卒業して、なにもせずに実家にいる私は、家族のおかげで生きていられるのだ。

かくして、今に至る。

「なんでDJになりたいの?」

そんなことにすら答えられない。
「わかりません・・・。」嫌な汗が頬を伝う。

「え?じゃあなんでこのオーディション受けてるの?意味がわからないんだけど。」
「まぁまぁ、淡路さん、落ち着いて!」

面接官は3人。
淡路さんと呼ばれた現役DJらしい若い男の人と、金髪のこれまた若い男性。
そして、おそらく偉い人であろう・・・ハゲ。

「そんなこと言ったって、これDJオーディションだよ?」
「ん~そうだけど、じゃあ、聞き方を変えようよ、なんでこのオーディションを受けようと思ったの?」

淡路さんという人に比べて優しく声をかけてくれる金髪の男性。
人は見かけによらないものだ。

「それは・・・変わりたかったから・・・かもしれません。」
「というと?」

本当は母が勝手に応募しただけだ。でも、言葉が自然と口からあふれ出ていた。

「私、大学を卒業してからずっと、まともに仕事もせずにふらふらして、親に迷惑ばっかりかけて、そんな生活を送ってたんです。」
「マジかよ!最低だな!」
「ちょっと淡路さん、空気読んで!それで?」
「はい、私、周りの人にきっと嫉妬してたんだと思います。大学の時はずっと一緒だったのに、卒業してから、みんなは当たり前のようにそれぞれの人生をそれなりに歩み始めて、でも私はなにもできなくて。それで、このままじゃダメだって、変わらなきゃダメだって、そう思ってたんです。けど、思ってるだけでした。本当は、このオーディションも、自分で応募したんじゃくて、母が勝手に応募したものなんです。でも、でも・・・変わりたいっていうのは本当で、その!」
「うん、そっか。」
「仮にもDJ目指してるんならしっかり喋れや!あれ?けど母が勝手にってことは目指してないのか?ってけど、変わりたいってことは・・・んん??」
「淡路、ちょっと黙れ。」
「う、うん。」
「ズッティーさん。」
「はい。」
「君は、変わりたいんだよね?」
「はい。」
「どんなふうに変わりたいの?」
「それは・・・やらなきゃいけないことをちゃんとやって、仕事もやって・・・。」
「うん。でもね、それは変わるってこととはちょっと違うんだ。」
「え?」
「君は本当はどうすればいいか、どうしたいか、心の中で決まってて、でもそれができないんだよね?」
「・・・はい。」
「それは”変わる”んじゃなくて、”できるようになる”なんだよ。変わるってことは、その心の中で思っていることを変化させることなんだ。それを実行するだけなら、それは”変わる”よりもっと簡単なことなんだよ。だって、君の本質は変わらないんだから。」
「でも、それができなくて!」
「だからさ、一緒にやろうよ」
「え?」
「おい、ちょっと待てよまさか!」
「実は、僕がディレクター、淡路さんがDJとして、新しい番組をスタートすることになってるんだ。」
「おいおい嘘だろ?」
「その番組のもう1人のDJとして、一緒にやりましょう。」
「・・・」
「こいつには無理だって!」
「淡路さん!あなたの最初の頃を思い出してください!」
「うっ・・・」
「ちなみに、返事を待つつもりはありません。これは、提案でなくて、決定です。ラジオ長、いいですよね?」
「うむ。」
「じゃあ、新しい仲間として、よろしく。ズッティー」
「はい・・・ありがとうございます。」
「ちっ、仕方ね~な。・・・よろしく。」
「・・・よろしくお願いします!」

自然と涙がこぼれた。
こんな感情になったのはいつ以来だろうか?
この人となら、私はもう一度・・・。

あれから数年が経った。
番組は順調に続いている。
時たま淡路さんとは喧嘩することもある。リスナーからの反感を買うこともある。
ちょっとした言葉に傷つくことも多いけど、それも、きっと糧になるんだと、前を向くようにしている。
今となっては、その全員が、大切な仲間だから。

もしかしたらいつか、この番組が終わった時に、またバラバラの道を歩む時が来るのかもしれない。
だけど、今の私なら、きっとまた、歩み出せる。
そんな気がする。

(ズッティーの心情を読み解いた人:スプラD)

今回のテーマは【パパキャラオフ】

(ここからリンダに戻ります)
OPでは新キャラ、FM大阪の社員さんチョ・ナン・サンがおふらじチームに捕まりズッティーの彼氏役として登場して下さいました。
私もまだリンダとしてしか登場していないので彼氏役・・・流石ですね羨ましい

毎回この4・5分の茶番、スプラDが考えて当日知らされるので、「今日はどんなOPから始まるのだろう?」とかなり楽しみにしています!
そんなOPの茶番をオフメイトの皆様から募集しています!!
†AWAjel†とズッティーに演じてほしい茶番、男性の役とだけ書いていただいても今回のチョ・ナン・サンようにおふらじで役者を確保してきますので、是非!是非!!!
面白い茶番お待ちしています〜

アイデアはこちら

チョ・ナン・サンの彼氏役ももう一度

radikoでどうぞ

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今回のプレゼントは…
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次回のテーマは【花江夏樹さんオフ】

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