このコーナーのテーマは「色」です。
毎月お題として紹介する3色の中から、1色お好きな色を選んでいただき、
その「色」について400字(原稿用紙1枚)程度で、文章を募集します。
「ことば結びパレット」第2回のお題は…!!!
「緑」「群青」「金」の3色でした!! 沢山の投稿ありがとうございました!!

「金」…長崎県長崎市 緑のサカナさんの作品
かつて阪神タイガースが優勝した際に大阪の道頓堀に飛び込む人間が続出したらしい。おそらく、日本よりも遥か遠くの外交が上手く行っていない異国の地での民族の儀式の話だ。
川の向こう、ブルガリアヨーグルトの看板は威圧感と圧迫感を身に纏っている。屋台が立ち並ぶこの中洲川端にはそんな民族の儀式の風は無い。
鮮明に思い出される5分間のパフォーマンス、円形のステージ、ガーターベルトのランジェリーを身につけた1人の女性の舞。圧巻という言葉はきっと彼女の為にあるのだろう。客も店員もあの子も世間的にはイリーガルだけど、白い目で見られるかもしれないけど、それでも彼女のあのパフォーマンスは繊細で可憐で。
才能というのは怖い。人を魅了も出来るし鳥肌だって立てる事も出来るし恐怖を植え付ける事だって。あの空間で彼女は指先の1ミリまで広げてくれればそれでいい。誰かに見つかる必要も無い。
残り香として残った感覚は「金」一色だった。色を感覚で言うなんておかしいけど他に例えようが無いのだから。
惚れ惚れした事を認めつつ、残念だなと同時に思った。彼女が舞美でさえ無ければ今、ここで黄昏る事なくホテルに帰ったのに。
「群青」…京都市中京区 ジャミロワクイさんの作品
亜希子さん、今日のそのぐんじょ色のワンピース、よくお似合いですよ。いや、群青色ですね。故郷では群青のことを「ぐんじょ色」と言っていたんです。あまり綺麗な色に聞こえないでしょう?ぐんじょ色。実際、汚い色のことを、ぐんじょ色と言っていました。子供の頃の話です。かといって「ぐんじょ色」がどんな色か、誰も説明できないんです。みんな違う色を思い浮かべていたんじゃないかな。「ぐんじょ」が「群青」で、こんなに綺麗だと知ったのは高校を卒業してこっちに越してきてからです。あまりにも想像と違う綺麗な色だったので、最初は戸惑いましたが、いまは、どんな汚い色を思い浮かべて「ぐんじょ色」と言っていたのかも覚えていません。田舎の両親もこの綺麗な群青が「ぐんじょ色」とは思わないだろうし、あのぐんじょ息子が、こんなに群青な女性を連れてくるとは思ってもみないだろうね。亜希子さん、亜希子さんと結婚して僕の人生が群青になるよ。
「緑」…京都市山科区 みゆきちさんの作品
「久しぶりぃ〜。会いたかったぁ〜。」
卒業以来の同級生に突然呼び出されるのは慣れている。保険の勧誘、マルチ詐欺、新婦友人の人数合わせ。大人しそうな私はうってつけの相手なのだろう。そして今日も例にもれず。ただ、そこまで知っていてやって来たのには訳がある。結婚式の種類が茶婚式だったから。
おおかたの予想通り招待客にお茶をたてるスタッフとして協力してくれとの事だったが、私はこの『お茶を通して沢山の人と出逢う瞬間』がたまらなく好きなのだ。特に結婚式独特の緊張、そこからの緩和。こぼれる笑顔。優しい空間。
新郎新婦はさておき、ゲストの笑顔は私に幸せを分けてくれる。やっぱりそこがたまらない。
そしてそんな私も、他の同級生の茶婚式でお茶を点てる姿をみて声をかけ縁を紡いでくれた彼とちゃっかり来年結婚する。
黒紋付き、白無垢、赤い毛せん。濃茶のみどりとのコントラストが今から楽しみで仕方ない。同級生達の式をリハーサル代わりにプランを練っているのは内緒だけど。
「ことば結びパレット」第3回のお題は…!!!
「桃色」「山吹色」「すみれ色」の3色。
1色につき400字程度でお願いします。
色そのものについて書いてもOKですし、
イメージとして結びついた先の色として書いていただいてもOK!!
皆さんの描く「色」をぜひ文章で表現してください!!
第3回〆切は、9月9日(水)とさせていただきます。