このコーナーのテーマは「色」です。
毎月お題として紹介する3色の中から、1色お好きな色を選んでいただき、
その「色」について400字(原稿用紙1枚)程度で、文章を募集します。
「ことば結びパレット」第7回のお題は…!!!
「白色」「水色」「薄橙色」の3色でした!!
投稿いただいた皆様、ありがとうございました!!「

「白色」・・・大阪府高槻市 の ナリリン さんの作品
冬のある日、誰かに呼ばれたような気がした。
ふと顔を上げると、青い空に、いくつもの白い手が浮かんでいる。白モクレンが咲いていたのだ。手と手を合わせ祈るように。
いつも、この道を通っていたのに、気がつかなかった。それは、悲しみに押しつぶされそうで、うつむいてばかりいたから。
祈りの手を、上へ上へとつきだしている白モクレン。あの中には、何が入っているのだろう。しばらくワタシは佇んでいた。
「あっ、あの中にワタシがいる」
そう、この花はきっと今のワタシ。白モクレンといっしょに、空高く舞い上がって行く。閉じ込めていた思いを解き放ちながら。
まだちょっぴり寒いけれど、今日からは、うつむかない。ワタシの長い冬が、ようやく終わる予感がする。
「元気をくれた白モクレンよ、ありがとう」
ワタシは思わず、そう呟いていた。
「水色」・・・大阪市平野区 の クローバー さんの作品
「気を付けてお帰り。これ、電車の中でお食べ。」
実家に帰省し、大阪に戻る日の朝。お隣に挨拶に行くと、そんな言葉と変わらぬ笑顔と共におばちゃんは小さな紙袋を手渡してくれた。
私が生まれる前からのお隣さんで、小さな頃からとても可愛がってくれたおばちゃん。
就職が決まった時は泣いて喜んでくれた。母が亡くなり、父と二人暮らしになった頃は仕事から帰るとよくおかずを持ってきてくれた。父を亡くした時は何も言わず大粒の涙とともに抱きしめてくれた。数えきれない優しさをくれた人。
おばちゃんを色で例えるなら水色。
淡く、優しい色合いはおばちゃんの笑顔と重なる。
電車に乗り、貰った紙袋を開けてみると、入っていたのはチョコレートやキャラメル。
おばちゃん、私もう50歳過ぎてるんだけど。苦笑しながらキャラメルを一粒口に放り込む。窓の外の景色が涙で滲んだ。
おばちゃん、ありがとう。またおばちゃんに会いに帰ってくるから、元気でいてね。
「薄橙色」・・・大阪府吹田市 の ごんたくれさん
駅前に新しくシュークリーム屋が出来た。いつもそのお店の前を通ると甘いイイ匂いがする。会社帰り普段は5~6人の列が出来ているのだがその日は珍しくお客は一人だった。私は迷ったがその女性の後ろに並ぶ事にした。
店の中から声がした。「あの、袋はどうなされますか」
女性が答えた。「えっと要りません」
そしてシュークリーム3個を受け取りその女性が歩き出したその時、事件は起こった。手を滑らせシュークリームの箱がボトッと地面に落ちたのだ。見るとシュークリームからは薄橙色のクリームが飛び出していた。そして沈黙。どうしようと考えていると店の中から青年が出て来た。
「大丈夫ですよ」青年は手早く落ちた箱を片付けた。そして店に入ると新しいのを3個女性に差し出した。
「あの、いくらですか」「いえ結構です」「でも」「大丈夫ですよ」
青年は笑顔でこう言った。「袋代50円だけ頂いてもいいですか」「本当にそれだけでいいんですか」「はい」帰宅して食べたシュークリームは最高に美味しかった。
「ことば結びパレット」第8回のお題は…!!!
「黒色」、「朱色」、「こげ茶色」の3色。
1色につき400字程度でお願いします。
色そのものについて書いてもOKですし、
イメージとして結びついた先の色として書いていただいてもOK!!
皆さんの描く「色」をぜひ文章で表現してください!!
第8回〆切は、2月24日(水)とさせていただきます。
次回が「ことば結びパレット」最後の3色となります…!!
奮ってご参加ください…!!
作品を投稿いただいた皆様、本当にありがとうございました!!
次回も皆さんのご参加お待ちしております!!