今日は小説投稿コーナー「3枚チャレンジ」
第6回優秀作品の発表を行いました。

画像: 3枚チャレンジ 第6回

番組から提示するテーマに沿った小説、またはエッセイを
原稿用紙3枚、1200字程度にまとめて投稿していただくコーナーです。
テーマごとに優秀作品を選び、今回も角川春樹事務所のPR誌
『ランティエ』に掲載されます!

今回から1つのお題に絞って、2作品を選ばせていただきます。
今回のお題は「星座」でした!

京都府宇治市 の だでぃK さんの作品

「とかげ座のプリンセス」。
 私が学校中からそういうあだ名で揶揄されている事を、少し前に知った。向かい合わせの第一、第二校舎に囲まれた空間に、私の憩いの中庭がある。中央には小さな噴水があり、その周りに均等に並んだベンチと、華やかに植えられた花々。そして珍しいのは、床一面に88星座が描かれていて、それぞれの恒星の位置には光沢のある石が埋め込まれていた。高校に入学してすぐにココが気に入り、以来、丁度とかげ座の上に位置する一番日当たりの良いベンチで読書をするのが、私の日課になった。しかし、そんな些細な幸せは、ある日を境に終わりを迎える。
「好きです。僕と付き合ってくれませんか」
 読書に勤しむ私の元へ、突然、そう言って告白してくる連中が現れるようになった為だ。最初は、なぜ?だった。特に彼氏が欲しいとも思わなかったし、その度に丁重にお断りをしたが、そもそも顔を見かけた事がある程度で、会話どころか名前も知らない男子ばかりだったから、二日目に、ようやくからかわれているのだと気が付いた。そしてそれは、私がたいして美人でもないという事実からも明らかだった。不快極まりない。何が楽しいのか。両側の校舎の窓から身を乗り出してクスクス笑い合う傍観者たちが目に入る。途端に、あんなに居心地の良かった中庭が、薄気味ワルイ悪の根城のように感じた。頭には警報音が鳴り響き、この場所を諦めて新たに平穏の地を探すべきだとの速報が流れる。しかし、それでも私は休憩時間の度に中庭に向かった。「とかげ座のプリンセス」と言われようが、自らを鼓舞して重たい足を引きずった。なにより逃げたと思われるのが癪だったし、相手にしなければ収まると思った。なのに、事態はより深刻になる。
 どうやら男子達にとって「とかげ座のプリンセス」に告白することは、ある種の根性試しスポットと化し、私が本に目を落として何も反応しないからか、次々に告白を吐き捨てていった。「毎日あんな所で本を読むお前の方にこそ問題がある」怪訝な顔でそう言い放った強面の男教師が、後日ヘラヘラ笑いながら告白してきた時は、さすがにショックだった。
「ゆかりさぁ、もうやめなよ中庭に行くの。見てるコッチが辛いよ」
 帰りがけに美香に肩を叩かれた。なにゆえ本人より辛いと言い切れるのか。私はぎこちない笑顔で礼を言う。大丈夫、小説の吸引力はそんな柔なモノじゃないから。
 ある日の夜、私は真っ暗な学校に忍び込んでいた。雑音のない中庭にしばし浸る。足下のとかげ座に目を落とすと、恒星を模した石が月明かりで青白く光っていた。ひんやりと冷たい。涙が頬を伝った。
「私のどこが好きですか」
 私は直立し、まっすぐ相手を見据えて尋ねた。握り拳に汗が滲む。チャラい感じの男は、しどろもどろになって去って行った。幾度かそれを繰り返すと、徐々に厄介者は寄り付かなくなり、また、元の中庭が戻ってきた。
「とかげ座のプリンセス」か、うん、別に悪くないな。

愛知県大府市 の もちもちメロン さんの作品

「久しぶり。」一年振りだと言うのに彦星と織姫は神妙な顔つきで会っていた。天の川はいつもと変わらず暗い夜空にキラキラと光っていた。つい先日、銀河局長から二人に話があった。銀河系の星がブラックホールに飲み込まれた。このままではいつか全部飲み込まれてしまう。そこで、星をたくさん集め、くっつけて、大きくしたものをブラックホールの蓋にする。その仕事を二人に頼まれた。「そんなの無理だよね。大人って簡単に言うよね。」織姫はふてくされて彦星の顔を覗き込んだ。彦星も頼まれたもののどうしたらいいか考えあぐねてうつむいていた。放っておけばいいと織姫が言い、彦星はもじもじして足元を見ていた。真面目な彦星はやらないといけないと思っていた。遊ぼうと手を引かれいつものように天秤座に乗っていたがやっぱりその事が頭をよぎる。ちょっと大変かも知れないけどやってみようよと彦星は織姫に話すと「えー。そんな事をして私達に何かいい事あるの?」と織姫は相変わらずだった。彦星は心にもやもやしたものを感じながら強く言えないでいた。いつもこうなるんだ。彦星は自分が嫌いだった。変わりたいと思っていた。はっきりと言おう。意を決して「僕たちにしか出来ないから頼んできたのだと思う。織ちゃんがやらなくても僕一人でやってくる。」と決意が揺らがないように目を見開いて大きめの声を出した。すると織姫はいつもの彦星と違う様子に、分かったよと一緒に星を集め始めた。大小様々な体より大きいボールの様な星を飛んで行って押してくる。それは言うなれば運動会の大玉転がしの無重力版といったところだ。織姫は最初ちょっと面倒くさそうに見えた。どれくらい経ったのか一ヶ所に集めて結構な数になった頃「疲れたー。今日中に出来るかな。」と織姫。「休んでいて、僕がやっておくよ。僕達には今日しかないんだ!」織姫はハッとして、汗を拭いながら一生懸命星を集めている彦星を見ていた。こんなに真剣な顔を見るのは初めてだった。結構たくましい所あるんだ。織姫は彦星を見る目が変わっていた。「彦くーん。もしこれが成功したら二人で逃げようか。」「えーっ。」「一年に一度しか会えないなんて意味わからん。」彦星は何も答えられなかった。織姫の顔は星に隠れて見えなかった。とにかくやるしかない。僕はこの綺麗な銀河が好きだ。織ちゃんも好きだ。今当たり前にあるものが無くなるなんて嫌だ。どれくらい続けていただろう。集めた星はとてつもない数になっていた。これをくっつけようと横に並べると縦に違う星が勝手にくっついた。そうか、まるで磁石の様な星はどんどん大きくなって一つの塊になった。二人はそれをブラックホールに被せた。「出来たね。」織姫が目をまあるくしてつぶやいた。銀河局長は成功した様子を見てお礼を言った。そして二人はいつでも会っていい事にしてくれた。織姫は「逃げなくてよくなったね。」と彦星に耳打ちした。

次回も投稿お待ちしています!

第7回のテーマは…「財布」
このテーマから、2作品を選ばせていただきます。
〆切は、12月20日(月)です。
原稿用紙3枚程度(1200字前後)で
お題にちなんだ作品の執筆をお願いします。
作品は小説でもエッセイでも、形式は自由です。
みなさんからの投稿お待ちしています!

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