画像: 企画会議の様子

企画会議の様子

現役関大生が月に一回お届けしている「防災イノベーションのヒントを探る」コーナ、第2回は9月18日(日)に放送しました。その内容をもう少し丁寧にご紹介します!番組をお聞きになられた方も、お聞き逃しになられた方も、是非、ご一読ください!

これまでの流れをおさらいします。防災・減災ビジネスにおける現状の課題はどのような生活者を念頭に置くのかによって変わってきます。たとえば、家具・家電の転倒防止製品やサービスは防災意識の高い人びとに対しては、Product(製品・サービス)とPromotion(広告宣伝)を変えることでより多くの生活者に選択してもらえる可能性があります。しかし、防災意識の低い人びとにはそのような効果は期待できません。つまり、何かしらの視点で生活者を細分化し、それぞれの生活者層ごとに現状の課題を検討する必要があります。

そこで私たちは、まず防災意識が低い層を、「まったく関心がない人びと」と「関心はあるが行動していない人びと」の2層に分け、そして防災意識が高い層を、「行動している人びと」、「行動するだけではなく身近な人びとへ発信している人びと」、「行動するだけではなく不特定多数の人びとへ発信している人びと」の3層に分けました。これらの5つの層ごとに生活者像を明確にし、さらに詳細な分析を進めていこうということになっていました。(マーケティング分野ではこれを「セグメンテーション」と言います)

9月の放送回では、防災意識の高い生活者の中でも「行動するだけではなく不特定多数の人びとへ発信している人びと」、いわゆる「防災インフルエンサー」にターゲットを絞りました。皆さん、この層の生活者がどのような人びとか想像できますか?この層の生活者の特徴を想像しやすくするため、彼らが具体的にどのような人びとなのかを見ていきましょう。(マーケティング分野ではこれを「ペルソナ分析」と言います)

 防災に関する内容を発信しているインフルエンサーのSNS(Instagram,YouTube,Twitter等)やブログ記事などから、彼らの購買行動やライフスタイルを分析しました。そうすると、「防災をメインで考えている」のか「防災をサブで考えている」のか、それから「身近な情報を発信している」のか「堅い情報を発信している」のかによって、特徴の異なる3タイプの人びとが浮かび上がってきました。

画像: 3タイプのペルソナ

3タイプのペルソナ

それぞれを詳しく見てみましょう。まずは「防災グラマー主婦」です。彼らは防災をメインで考えた身近な情報を発信しています。子持ち主婦が多く、また社会貢献に対して高い意識を持っています。防災士の資格を持っている人が多いのは、防災に対する意識の高さの表れだと言えるでしょう。彼らは、SNSだけではなくブログや雑誌など多様なメディアを通して、日常でも取り入れやすい防災術を発信しています。

 続いて「プロの防災機関」です。彼らは防災をメインで考えた堅い情報を発信しています。いわゆる防災のプロ集団で、政府や自治体、防災関連の企業や協会などが含まれます。市民の命を守るために日頃から災害情報や防災知識の発信に余念がありません。彼らはホームページなどを通して、ハザードマップのような情報を発信していますが、それらの情報は私たちの日常生活とは少し距離を感じます。

 最後に「生活インフルエンサー主婦」です。彼らは防災をサブで考えた身近な情報を発信しています。防災グラマー主婦と同じく、子持ち主婦が多いのですが、社会貢献に対する意識の高さよりも、家族を大切にしている印象の方が強く表れています。整理収納アドバイザーの資格を持っている人が多く、暮らしやすい生活環境づくりに対する関心の高さがうかがえます。『日常生活を見つめた先に防災を考える』 というくらいに、日常に即した防災情報を発信しています。他のタイプとは異なり、彼らは防災をサブで考えているため、日常的には防災とは無関係な身近な生活情報を主に発信しています。

さて、ここまで見てきて、防災意識の高い生活者の中でも「行動するだけではなく不特定多数の人びとへ発信している人びと」というのがどのような人びとなのか、想像できるようになったのではないでしょうか。ここからは、私たち学生スタッフが3タイプの中で最も身近な存在に感じた「生活インフルエンサー主婦」に防災・減災サービスや製品を今以上に選択してもらえるようにするためにはどうすれば良いかを考えてみます。

画像: 生活インフルエンサーの共通点

生活インフルエンサーの共通点

彼らは、無印良品の生活雑貨を好んで購入しています。いかに日常になじむように防災を取り込むかを重視しているようです。そのため、生活インフルエンサー主婦には「ライフスタイルを崩さない高機能でシンプルなデザイン」の防災製品シリーズなどが選ばれると考えられます。彼らはSNSなどで防災とは無関係な身近な生活情報を発信しているので、防災への関心が低い人びとや普段何から防災を始めればいいか分からない人びとでも、彼らの投稿を参考にして日常に取り入れられる防災を始められるかもしれません。防災はハードルが高いと感じている人たちにとっても取り組みやすい提案が多く、防災への第一歩に繋がると思います!

画像: ラジオ収録の様子

ラジオ収録の様子

最後に、9月の放送に出演した村井くんの感想をお届けします!

関西大学社会安全学部3年の村井拡汰郎です。

今回の放送では防災意識を細分化することで具体的にターゲットを絞り、アプローチをかけることができるという自身にとって新たな考え方を得ることができました。また、SNSで防災を発信する主婦層の投稿を見ていると、日常生活を見つめ直し、改善していくことが、結果的に防災へと繋がっているように感じました。何から防災を始めればいいのかわからない方も、自身の生活を良いものにしていこうと考えることで自然に防災との距離を縮めることができるのではないでしょうか。今後もラジオを通して、防災に対する新たな考え方を発信できたらと思います。

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