毎週月曜日にお届けする「オオサカマンスリージャーニー」。
大阪府内の市町村をひとつ取り上げ、1ヶ月にわたって深掘り。ゲストを招いて、DJの”おまり”こと三浦茉莉がインタビューします。ユニークなイベントやその町特有の取り組み、特産品など、町の魅力を幅広く発信するコーナーです。
今月9月にご紹介するのは・・・枚方市!
大阪府の北東部に位置し、西には淀川が流れ、東に生駒の山並みを望むことができ、自然豊か。市の中央部には国道1号が縦断し、東部にJR学研都市線が走るなど大阪市内へのアクセスも良く、今では40万人を超える中核市となっています。
今日ご紹介するのは「水都くわらんか花火大会」

おまり:今日は9/15(日)に枚方市で開催される「水都くらわんか花火大会」について一般社団法人 水都くらわんか花火大会代表でいらっしゃいます井關さんにお話を伺っていきます。
井關さん:よろしくお願いいたします。
おまり:井關さんの「せき」、すごい漢字ですね。
井關さん:あはは、そうですね。めちゃくちゃ難しい漢字です。
おまり:これ、日本で何人くらい同じ名字の方いるんでしたっけ?
井關さん:20人くらいしかいないらしいです。
おまり:めっちゃめずらしい!では、まずこの「水都くらわんか花火大会」について教えてください。
井關さん:はい。もともと枚方市には「くわらんか花火大会」は行われておりまして、それが2003年を最後に中断していました。僕は枚方市出身ではなく和歌山市出身なのですが、2004年、枚方市に移り住んで、そこから10数年経った頃、「くわらんか花火大会、復活して欲しいよね」って声をたくさん聞くようになって、それやったらちょっとやってみようかと立ち上がって、今の「水都くわらんか花火大会」がはじまりました
おまり:へぇ~すごい!「くらわんか」というのは、そもそもどういう意味なんですか?
井關さん:昔、100年くらい前の江戸時代だと思うんですが、大阪と京都の間を走っていた「三十石船」という、人や物を運ぶ船がありました。その船が休憩する中継港が枚方市にあったんですけど、この船に乗っていた方に餅やお酒、ごぼう汁を売りに行っていた船が「くらわんか舟」と言うんです。この船、なんでそう呼ばれていたかというと、餅やお酒を売るときに「餅くらわんか、酒くらわんか」と言いながら売っていたので「くらわんか」という言葉が枚方の土地の方に今でも引き継がれている言葉になっています。
おまり:へぇ~、「くわらんか」は「食べませんか」「どうですか」って意味なんですね。おもしろ~い。そして「くらわんか花火大会」は20年ぶりに復活という事ですが、復活に至った出来事があったのでしょうか?
井關さん:そうですね。2014年にたくさんの方から花火大会を復活して欲しいという話を聞いて、僕としてはそれだけ求められることであれば、僕が何か役に立てることがあるんじゃないかと、立ち上げようと個人的には思いました。
枚方市としては昔は「菊人形」やそれこそ「くらわんか花火大会」があって、これに市民が携わって、この町のアイデンティティになっていたのですが、それが徐々になくなってきて、街の人が今、自分たちの手で作り上げるものが少なくなっているんじゃないかなと思っていて。
枚方市といえば「ひらかたパーク」を思い浮かべる方は多いと思うんですが、「ひらかたパーク」は京阪が運営している遊園地なので、市民が自分たちの手で作り上げたものじゃない。自分が携わってつくるというのが、アイデンティティになるんじゃないかと。それが花火大会ならそうなるんじゃないかと思って、「水都くらわんか花火大会」の準備をはじめました。
おまり:花火大会は、かつては枚方の誇りだったり、自慢できるものだったんですね。でもそれを復活させるなんて、かなり画期的なことですよね。
井關さん:そうですね。めちゃくちゃ大変でした。
おまり:花火の打ち上げ数には意味があると聞きました!
井關さん:もともと僕はバーテンダーからはじまったので、最初は花火の上げ方もわからない。まずは花火をどうやったら上げられるのかと思って試しに75発だけ上げてみたんです。そこから250発、500発、1000発、1200発とどんどん上げ方とか、花火大会の作り方がわかってきて、いよいよ枚方市に協力してもらって、花火大会にしましょうっていう段階で、花火の発数をどれくらいにしようか、と悩んだんです。どうやって決めたらいいのか基準がなくて。
おまり:たしかに。3000発とか5000発とかキリのいい数をよく聞きますが、それに意味があるのかなと考えたことなかったです。
井關さん:3000発でも5000発でも、なんでも良かったけど適当過ぎて決めかねていたんです。そのときたまたま枚方市の出生数をみたら1年間で2500人くらいで。となりの高槻市も同じくらいの規模だから同じくらいかなと調べたら2500人くらい。だからこれでいこうかな、と。打ち上げる数を出生数にしたら、お祝いみたいになるなと思ったんです。
おまり:それ、すごいですね。子どもにとっては花火1発が自分のものってことですもんね。生まれてきてくれてありがとうってメッセージにもなりますもんね。今年の第3回となる花火大会で打ち上げる花火の数は?
井關さん:今年は5087発です。以前は枚方市と高槻市の出生数だったんですが、今年は交野市の出生数も足しています。やはり花火大会を見に来る方は枚方市・高槻市だけじゃない。交野市の方もたくさん来ていただいているので、枚方市・高槻市の方は「自分の子どもが花火のひとつになっているから嬉しい」と思っていて、交野市民が1歳の子どもを抱いて花火大会に来たとき「自分の子どもの数は入ってないねんな」って思うと、なんか寂しいなと思って。交野市からもたくさんの方が見に来ているのはわかっていたので、交野市の出生数も加えさせてもらおうと、交野市の市長のもとへ「入れさせてください」と言いにいきました。
おまり:すごい素敵なお話ですよね。その1発がお父さんお母さんの心に響きますね。でもそもそもなせ出生数にしようと思われたのですか?
井關さん:めちゃ深い話になるんですけど、人が生きるとか死ぬとか、僕はすごく考えるタイプの人間で、自分が生きる意味とか、自分はいつ死ぬんだろうとか、どうやって死ぬのか、何をして生きるのか、すごく考えてしまうんです。
打ち上げ発数を決めるとき、赤ちゃんを抱いた親子の映像を思い浮かべると、この街に住んでよかったと思う家族の絵が想像できたんですね。日本の花火大会は約800カ所あるんですけど、こんなことをやっている花火大会はおそらくないので、花火の数は出生数で行こうと思いました。
おまり:めちゃくちゃ素敵です。「水都くわらんか花火大会」だけの、あたたかいメッセージ性がありますね。そんな気持ちで見上げると涙が出てきそうですよね。1人ひとり、この花火の数だけ子どもが生まれたんだと考えながら花火を見上げたことって、今までなかったから。
井關さん:花火大会で泣いてる人ってあまり見ないと思うんですけど、「水都くわらんか花火大会」は、僕も含めてけっこう泣いている人が多いんです。
おまり:そうなんだ。生きることって花火みたいじゃないですか。儚いし、咲かせようと思えばすごくキレイに咲かせられるし、ただ最後は散っていくというか。そんな思いで花火を見上げる人がたくさんいそう。大切にしなきゃって思いそうですよね。
井關さん:そうですね。花火大会をつくるってむっちゃくちゃ大変なんですよ。資金面もそうですし、実際の体力面でもそうですし。しんどいのにやり続けるのはなぜか。それは街のために、子どものために、この街に住み続ける人のために頑張る大人がいて、その背中を見て、がんばってみたらできるやんって、まずチャレンジすることが大事やんってことを示したい。言葉だけで「チャレンジはするものだ」と言ったり、できない理由をつけてやらないとか、そうじゃなくて、まずは大人がチャレンジする背中を子どもに見せる街にしたいなと。
おまり:大人が背中を見せる街か……。素敵。井關さん、素敵です。
井關さん:ありがとうございます。花火大会をはじめるときも、ほとんどの大人に「花火大会をつくるのは無理だ」と言われました。言われれば言われるほど燃えて、絶対にやってやろうと覚悟を決めて10年やってきました。
おまり:じゃあ今週末の9/15、たまらないですね。楽しみだし不安だしいろんな感情がわきますね。子どもたちも来ると思いますが飲食ブースなどの出店もあるのでしょうか?
井關さん:100店舗くらいの出店がありまして、キッチンカーもたくさん出ます。枚方・高槻・交野の飲食店なので、近くに店舗があるお店が出店しているのも特徴ですね。
おまり:有料観覧席もあるんですよね?
井關さん:ぜんぶで2万席ほど用意しており、全体的に埋まってきてるんですけど、あともう少し空いているので今からでも買っていただけます。有料観覧席エリアにはトイレもあり、飲食ブースもあるので、すごくゆったり見ていただけます。
おまり:普通の花火大会なら立ちながら、何かしながら、食べながらでもいいかなって思うけど、今の話を聞いていると座って心してじっくり1発1発を味わいたい気もしますね。
井關さん:今、すべて有料の花火大会が増えてきているんですが、やはり有料観覧席に入っていただくこと自体が、花火大会に携わっていただくことになります。ゆったり鑑賞しながら、自分も花火大会のお手伝いできているという感覚で有料観覧席の購入をしていただきたいですね。
おまり:では、あらためて開催場所と時間を詳しく教えてください。
井關さん:開催日は今週末15日の日曜日、時間は午後12時~20時で開催します。花火のうち上げは19時30分から20時、花火は5078発となっています。
おまり:はい、楽しみですね。それまで眠れない日々が続きそうですね。
井關さん:そうですね。
おまり:子どもたちのためにも、みなさんのためにも、がんばっていただきたいと思います。
「水都くらわんか花火大会」は今週末 9/15(日)の正午から夜8時まで、花火の打ち上げは7時半からとなっています。
開催場所は淀川河川公園で、枚方会場のほか高槻会場もあります。枚方会場へのアクセスは、京阪本線・枚方市駅から徒歩10分。駐車場はありませんので、公共交通機関でお越しください。
今日は一般社団法人水都くらわんか花火大会代表の井關さんにお話を伺いました。ありがとうございました!
井關さん:はい、ありがとうございました!

▲井關さんの袖のQRコードからも「水都くわらんか花火大会」のホームページにとべます!