防災の専門家 & 現役関大生が参加した「本音で語ろう!これからの関西のための防災カフェ」で
明らかになった防災意識の差とは?

防災カフェを開催!

現役関大生が月に一回お届けしている「防災イノベーションのヒントを探る」コーナ、
第4回は10月23日(日)に放送しました。そこで語られた“防災カフェ”の内容をもう少し
丁寧にご紹介します!
番組をお聞きになられた方も、お聞き逃しになられた方も、是非、ご一読ください!

10月20日(木)に開催された「防災カフェ」の内容について、より詳しくご紹介します。
高槻市の安満遺跡公園内にあるレストラン、ファーマーズクラブという場所をお借りして
開催されました。
イベントのタイトルは『本音で語ろう!これからの関西の防災』。
これまで学んできた学問など、バックグラウンドが全く異なる学生の防災に対する意識の違いと
これからの防災をコンセプトに行われました。
参加者は対面とオンラインを含め約50名で、その8割は大学生。
関西大学商学部と社会安全学部の学生に加え、オンラインの方々が参加してくださいました。

画像: 防災カフェの様子

防災カフェの様子

まず冒頭で、今回のイベントを主催している学会の会長でいらっしゃる東京大学の目黒教授から
ご挨拶をいただきました。
その挨拶がはっとさせられるようなインパクトある挨拶だったのでご紹介します。
『起こるかわからない災害に備えることにコストを感じてしまっていた防災を、これからは
バリューとして捉えることで、防災に大きな変化をもたらすことができる』という考え方です。
防災をビジネスチャンスととらえ、防災することに価値を見出すということは私たちにとって
新たな発見になりました。
そこで、私たちは、防災をバリューとして捉えることができるかどうかは、防災に対する意識に
大きく左右されると考え、会場内の社会安全学部の学生と商学部の学生に防災への意識を
聞いてみました。すると、意識レベルに大きな差がありました。

来たる南海トラフ巨大地震の被害想定規模や災害対策に関して、社会安全学部の人は、
日頃から学んでいるため、南海トラフ大震災の被害想定に関する具体的な数値などを
知っている人が多かったのですが、一方で、商学部は知らない人が多かったです。
商学部の中には『被害想定が想像を超えて、大きかった!』と言っている方もいました。
また、私たちは、生活者を「防災する」「防災しない」の2分類ではなく、さらに5分類に
細分化できると考え、分析を進めてきました。
そして、今回の防災カフェでは、参加してくださった皆様にいったいどの層にあてはまるのかを
お伺いしてみました。

画像: 生活者の細分化

生活者の細分化

結果としては、会場内では防災をしている人が多い印象を持ちました。
特に防災する人の中でも、防災意識の高い人から2番目に意識の高い層にあたる、
”防災していて、近くの人(家族や友人)に防災情報を発信する人”が43人中21人と
半数近くを占めていました。
その次に”意識はしているが、防災できていない人”が多く、4分の1を占めるという結果でした。
この会場では、防災を学んでいる社会安全学部の方が過半数を占めていたので、
”自分も防災をしていて、身近な人にも発信する、防災意識が高い人”が最も多いという結果に
なりましたが、実社会で見てみると、“防災に関心はあるけれど、行動には移せていない”という層が多いのかなという風に考えています。

会場(人)オンライン(人)合計(人)
2.5224
2.017421
1.0426
0.56410
0202
統計結果

また、防災カフェの中で気になる言葉がありました。
それは、イベント最後の社会安全学部の学生さんの発言です。
社会安全学部の学生は南海トラフのことをよく知っているとか,防災に詳しいと言ってもらいましたが、そんな自分達も卒業したら、直ぐに他学部の他の学生さんたちと同じようになってしまうのではないか、と話されていました。
このお話を聞いて、防災に関心をもって行動を起こしている人たちが、何もしなくなる可能性があるのは少し怖いなと思いました。
そうならないためにも、防災が生活に溶け込んでいるような、もっと身近な環境になっていく
必要があると考えます。それと同時に、これからも関心を持って周りにも発信できる人を維持、
増やしていくアプローチを考えていきたいです。

今回のイベントは、防災をコストからバリューとして見るということが一つのポイントと
なりました。
災害は限定的なイベントであるため、非常時のみでの活躍を目指した対策を行うことが難しいことが現在の課題となっています。
その中で、防災をバリューとして捉えた動きは少しずつ見られています。
今回の防災カフェの主催である学会の会長の目黒教授(東京大学)は、金融機関においての事例を
紹介されていました。
金融機関が民間企業の防災対策をチェックし、災害時にも適応する取り組みであると認められれば、非常時であっても事業継続が見込まれるため、多くの融資を与える取り組みです。
金融機関からビジネスパートナーとして認めてもらい多くの融資を得ることは民間企業にとっての
バリューとなり、防災に取り組むことへの価値を生み出すことにつながります。
フェーズフリー(※1)の考え方も活かした取り組みによって持続可能な災害対策を広げていくことが、これからの新たな防災・減災になるのではないでしょうか。

※1:平常時と災害時という社会のフェーズを取り払い、普段利用している商品やサービスが災害時    
   に適切に使えるようにする価値を表した言葉

防災カフェに参加した感想

今回、他学部生や、防災に関する研究をされている教授とお話しする貴重な機会をいただきましたが、改めて、防災の情報に触れ、知識を得ることがまず重要なんだなと感じました。
また、目黒先生のお話を聴いて、防災をいかにチャンスと思ってもらえる環境づくりをするかが
今後防災を進化させる一つの方法だと思うので、商学部としても今後ここに注目して行きたいなと
思いました。

This article is a sponsored article by
''.