毎週月曜日にお届けする「オオサカマンスリージャーニー」。
DJの”おまり”こと三浦茉莉が大阪府の各市町村を現地取材したり、市町村の方から教えてもらったりしながら、街の隠れた魅力を発信します!

10月にご紹介するのは田尻町。大阪府南部に位置し、泉佐野市と泉南市に接していて、コンパクトな町ながら沖合およそ5キロメートルには、関西国際空港が立地しています。

10月2週目となる今回は、先週のインタビューでもちらりと話題に上がった「田尻歴史館」をご紹介します。
「田尻歴史館」は、大正11~12年頃に完成したと言われる近代和洋建築。まちの文化振興の拠点施設として1993(平成5)年に開館しました。
かつて田尻町の紡績業で富を築いた谷口房蔵氏の別邸で、約1000坪もの敷地に洋館、和館、土蔵、茶室、庭園が配されています。以前はこの別邸のお向かいに紡績工場があったそうですよ。
大阪府指定有形文化財で近代化産業遺産でもある立派な建物を歴史館として開放し、みんなが自由に出入りできる施設になっています。

この日は田尻町公民館長の中野篤史さん、田尻町教育委員会 教育部生涯学習課の出口絵利子さんに館内をご案内いただいた後、インタビュー収録を行いました。

松の大木の間を抜け、洋館の1階にある玄関へ。なんとも重厚感のある雰囲気です。

お庭側から見るとこんな感じ。こちらから見ると洋館部分しか見えていませんが、建物全体でいうと、洋館と和館、2つが棟続きでつながった2階建の建物です。まさに別荘といった特別感があって、お庭も広くて素敵でした。


さて、中に入ります。玄関で靴を脱ぎスリッパに履き替えて、まず左側の部屋へ。こちらは書斎で、本棚は建築当初のもの。これまでの歴史がわかる資料が展示されています。

1階の奥にある食堂&談話室は、カフェ「リサイア・コーダ」として営業。壁紙には西陣織があしらわれています。贅沢!
気になるメニューは、パスタ、ワンプレートディッシュ、洋風どんぶりといった食事メニューと、昔懐かしいオールドプリン、和テイストなスイーツなど。ドリンクもコーヒー、紅茶、アルコール類など豊富。「家族でゆっくりとした時間を過ごしてほしい」と、お子さまメニューもあり、小学生未満はドリンクが無料だそうですよ。
おまりは「チーズケーキ食べたい」と言っておりましたが、時間がなく断念……。

洋館の見どころは、ステンドグラス。持ち主だった谷口房蔵氏が「綿の王」と呼ばれていたため、綿花をモチーフとしたものやアヤメ、スズラン、カキツバタなどのお花のデザインもありました。
ステンドグラスはひとつずつデザインが異なるそうで、なんとも贅沢。ひとつひとつ、じっくり観察したくなります。

2階へと続く階段にもステンドグラスが飾られています。こちらにあるステンドグラスの中で一番大きいサイズだそう。木造の建物とステンドグラスが調和してチャペルのような雰囲気です。

2階には洋室が3部屋と、洋館の和室が1部屋あります。クローゼットっぽい場所があったりして、こんなところ泊まってみたいですね。
洋館2階からそのまま和館へ移動。洋館の方が、天井が高いため、和館に入るには階段を数段降りなくてはなりません。なんとも不思議な体験。

和館の2階には和室が2部屋。押し入れなどもあります。欄間のデザインもかっこいい!

続いて和館の1階へ。廊下の天井も見どころのひとつ。船をひっくり返したような船底天井で、1枚物の屋久杉を使用。今では入手困難な贅を尽くした建築部材です。

1階にある、お庭が眺められる和室も素敵です。窓ガラスは大正時代のもの。現代の機械化された透明度の高いガラスと違い、揺らぎがあるのが魅力で、割れたら同じものは復元できない貴重なもの。ぜひ近くで観察してみてください。外の景色が少し歪んで見えます。
和室の縁側は、9mもの一枚板が床材として使われています。これも貴重なものなので財力の象徴とされています。

この大正レトロな雰囲気を活かして、12月2日(土)・3日(日)には町制施行70周年を記念した「ハイカラ衣装体験・記念撮影イベント」を行うそうです。
レトロな着物を着付けしてもらって、簡単なヘアセットもしてもらってプロのカメラマンに写真を撮ってもらえる、とても楽しそうな内容です。
申し込みは明日10月10日(火)~10月31日(火)まで。申込み多数の場合、抽選となるそうなので、以下のサイトにある申込フォームから予約してくださいね。
▽田尻歴史館「ハイカラ衣装体験・記念撮影イベント」
https://www.town.tajiri.osaka.jp/kakukanojoho/kyoikuiinkai/shougaigakushuuka/4/2/4251.html
またお庭にある素敵な茶室「芳庵」では2024年3月19日まで茶道教室を開催しています。とっても好評で現在はキャンセル待ちの状態ですが、気になる方は最後に記載している「田尻歴史館」のホームページをご覧ください。

館内をお散歩しているだけで非日常が味わえる「田尻歴史館」。建築に詳しくなくても、田尻の歴史を知らなくても楽しめるので、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。
「田尻歴史館」の開館時間は朝9時から夕方6時、
休館日は毎週水曜日と年末年始(12月29日~1月3日)、
入館料は無料です。
アクセスは、電車なら南海本線「吉見ノ里」駅下車、徒歩約7分
車なら阪神高速湾岸線「泉佐野南I.C」から約5分。
車は隣接する「田尻町立公民館」に駐車できます。
「田尻歴史館」をもっと知りたい人はホームページをチェック!
▽田尻歴史館ホームページ
https://tajiri-rekishikan.net/
来週10月16日(月)は、田尻漁港で毎週日曜日に開催される田尻朝市の潜入レポートをお届けするので、お楽しみに。