五代友厚公の命日(9月25日)に合わせて、毎年、五代友厚甲子園がゆかりの地である大阪取引所にて開催されます。今回は9月23日(土・祝)に開催されました。

五代友厚甲子園は今年で8回目となり、毎年、高校生を中心に、現役の大学生、専門学校生が、国籍、性別、年齢を問わず、五代友厚の生涯を研究・探究し、今に伝わる五代イズムとは何かを見つけ出そうとするものです。

五代友厚は、朝ドラ「あさが来た」でディーン・フジオカさんが演じたことで、一気にその名を知らしめ、映画「天外者」では主人公となり、三浦春馬さんが演じたことで知られています。五代友厚プロジェクトは当番組に出演中の廣田稔氏が代表を務め、映画「天外者」も制作総指揮を務めています。是非、多くの学生の皆さんに関わってもらいたい催しなのです。

当番組のディレクターも当日、会場で激戦を拝見させていただきましたので、さわりだけですが、お伝えをさせていただきたく思います。

画像1: 第8回 五代友厚甲子園①

1組目。大阪ビジネスフロンティア高等学校A班。
テーマ「誰もが物語の主人公になれる」

1880年に五代友厚が設立した大阪商業講習所がルーツになっている大阪ビジネスフロンティア高等学校。毎年、参加してくれています。学校の中には五代友厚像も立っています。

自分達の世代、若者が抱える悩みをきっかけに、五代友厚の生き方を通して、五代の考え方を紐解いてみたようです。五代の考え方を表すことに用いた題材が「映画」。今、SNSなどの情報ツールが若い世代では当たり前になってきていますが、こういったデジタルツールは思いの部分までは伝わりづらく、コミュニケーションが取りづらいという欠点があります。しかしながら、映画を通すことで、人がどういう思いで行動に移すのか、映画「天外者」を通して、五代イズムを研究してみたということでしょう。

内容的には「もし、五代友厚が映画監督だったら?」ということに焦点をおいていました。五代友厚はどんなことを伝えようとしたのでしょう? 今、若者だけではなく、多くの人が前に進みづらい、新しいことに挑戦しづらい世の中のように見えます。五代さんなら、こんな時代でも、様々なことに挑戦したのかもしれない。そして、それを発信していったのかもしれないですね。もっと、五代友厚が映画監督だったら・・・というイマジネーションを発揮できれば、もっと良い発表になったように思います。

画像2: 第8回 五代友厚甲子園①

2組目。大阪ビジネスフロンティア高等学校B班。
テーマ「ビジネスの種の見つけ方」

大阪ビジネスフロンティア高校は、五代友厚さんからの流れがあるだけに「ビジネスマネジメントクラブ」という部活動があるんです。この部活では様々な商品などを生み出し、新しいアイデアを作り出して、実際に売り出したりしているんです。その部活動の一環として、この五代友厚甲子園にも出場してくださっています。

ということもあって、こういうテーマになったのでしょう。アイデアマンとしても知られる五代友厚の考えを探求し、例えば、今のZ世代に対して受け入れられる物を五代友厚ならどのように生み出したであろうか? ビジネスフロンティア高校らしいテーマだと感じました。今の経済界はZ世代をマーケットとしてターゲットにしている商品やサービスも多く、特にエンタメの世界ではK-POP、今はその中でもJ.Y.Park率いるJYP Entertainmentから、TWICE、NiziUが成功を収めています。そんなJ.Y.Parkと五代友厚を重ね、五代友厚なら、どんなグループをプロデュースするだろう? そんな視点から考察していました。普段、エンタメを生業としているディレクターとしてはとても面白い視点だなと思っていました。ただ、聞く人を選んでしまったので、そこは残念でしたね。

画像3: 第8回 五代友厚甲子園①

3組目。朝日塾中等教育学校。
テーマ「ラストサムライ滝善三郎と五代イズム〜次代を担う私たちにできること〜」

幕末の備前岡山藩士・滝善三郎。朝日塾中等教育学校は岡山からの参戦ということもあり、滝善三郎と五代友厚は接点があったことで、今回、しっかりと調べ上げた上で、取り上げたものと思います。五代友厚も滝善三郎も幕末の志士としては、それほど有名ではない存在なのですが、この2人が接する神戸事件は明治政府として初の外交問題に発展した事件として知られ、事態の収束を図るため、滝善三郎は4歳と2歳の子を残して切腹したのです。そこにどんな思いがあったのか。

この神戸事件の前には生麦事件という似た事件が起こっていたこと。生麦事件は薩摩藩が起こしていたことなどから、五代友厚も他人事ではないと思ったことでしょう。生麦事件はその後、五代友厚が大きく関わった薩英戦争に発展したわけですから。その一連のストーリーをよくよく調べた上で、五代友厚の思い、滝善三郎の思いなど、面からは見えない部分の描写が盛り込まれていました。これは映画にできるかもしれないな。と感じましたね。会場で1人頑張った本間さん、岡山に残ってオンラインで参加した松浦さん、2人が本当によく調べ上げたと思います。ここまでやったのなら、色気が出てしまって申し訳ないのですが、もっと・・・と思ってしまったのですが、是非、もう少し時間をとって、ディスカッションできれば良かったなと思います。

画像4: 第8回 五代友厚甲子園①

4組目。愛媛大学 伝統文化近代史研究御幸会。
テーマ「五代イズムとは何か?」

今回、唯一の大学生です。初参加ということもあり、自分達が最初に疑問に思ったであろう「五代イズムとは何か?」について、真っ直ぐに考察するところから始めていました。五代友厚甲子園のパンフレットには「あなたが感じた五代イズムは何ですか?」ということが、探求課題として書かれています。そして、五代イズムの説明も「五代友厚が未来に伝えたかった考えや思いのこと」と書いています。まずは、ここにフォーカスし、五代友厚の研究からスタートさせたということと理解しました。

これは、よく陥りやすいことなんですが、こういうお題が出ると、五代友厚自身のことについて調べたくなってくるんです。気持ちはよくわかります。ただ、この場は五代友厚のことを誰よりもよく知っている人たちが集まっており、五代友厚さんについては、これ以上の説明がいらないため、無駄な時間を要してしまうということになってしまいます。もし、今後、五代友厚甲子園に出場してみようかなと思ってもらえる方がいらっしゃれば、是非とも、その点をご注意いただければ幸いです。

画像5: 第8回 五代友厚甲子園①

後半に続く。

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