毎週月曜日にお届けする「オオサカマンスリージャーニー」。

大阪府内の市町村をひとつ取り上げ、1ヶ月にわたって深掘り。ゲストを招いて、DJの”おまり”こと三浦茉莉がインタビューします。ユニークなイベントやその町特有の取り組み、特産品など、町の魅力を幅広く発信するコーナーです。

今月8月にご紹介するのは・・・富田林市!

富田林市は大阪府の東南部に位置し、自然と歴史に恵まれたまちです。

古くから南河内地域の中心地として発展を続けています。

8月1週目は富田林市で観光ボランティアガイドをしている小田さん、中辻さんが生出演。レトロな街並みで知られる寺内町について、ご紹介いただきました。

========================================

おまり:富田林市の中でも江戸時代の町並みが残る「寺内町」でボランティアガイドを行っている小田さん・中辻さんをスタジオにお迎えしました。

小田さん&中辻さん:よろしくお願いします。

おまり:小田さん・中辻さんはボランティアガイドをされているということですが、まず、寺内町について教えてください。

小田さん:南河内の南東部、石川の西、10mほどの高台にあります。約2万坪のお寺の境内の中に約465年前に出来た町で、富田林寺内町といいます。ちょうど戦国時代、織田信長が全国を統一しようとしていた頃、戦いから民衆を守るために、武士の力が及ばない町をつくるため、この土地を治めていた殿様から、特別な地域と認められる特権を与えられ、宗教自治都市として出発しました。

それから江戸時代になると、幕府の管轄になり、商売の町・在郷町に変わっていきました。町割りはつくられた当初のままで、江戸時代の中頃から残っている建物が600棟もあります。今は空き家を利用したお店が30店舗ほどあります。

おまり:町割りが江戸時代のままってすごいですね。そんな町、他になかなかないですよね。昔からある建物と、新しく空き家を利用したお店もある、現在はそんな町なんですね。

では、歴史的な建造物はどのようなものがあるのでしょうか?

中辻さん:大きく代表するのがふたつあります。まず富田林寺内町ができたとき、中心となった浄土真宗のお寺が興正寺別院といいます。このお寺にある本堂は1638年に再建されたもので、大阪府下で最も古い建物です。

おまり:映画「燃えよ剣」の撮影に使われた立派なところですね。写真から厳かさが伝わってきます。

中辻さん:そしてもうひとつ、町家建築では重要文化財に指定されている旧杉山家住宅。これは17世紀中ごろの建物で、寺内町で最大の町家建築でもあります。富田林寺内町は八人の庄屋さんが集まってつくったんですが、その筆頭が杉山さん。もともと河内木綿商を営んでおられたようですが、途中から酒造業へと変わられ、富田林で一番、南河内でも一番のお金持ちだったといわれています。江戸時代の流行り歌にも「一に杉山、二に佐渡屋、三に黒さぶ 金が鳴る」「富田林の酒屋の井戸は底に黄金の水が湧く」と唄われるお宅でした。

また旧杉山家住宅は「堺の与謝野晶子か、富田林の石上露子か」と言われたほど、明星派の歌人として有名なで石上露子さんの生家だったといわれています。それから、この富田林寺内町は、江戸時代、河内木綿と酒造業が主の産業で、酒屋の同業者組合を「恵比寿講」と呼んでいました。「恵比寿講」が、商売繁昌を願って祭っていたのが富栄戎神社で、「えべっさん」として親しまれ、1月には大阪など他の地域と同様にえびす祭が行われています。

おまり:富田林では知らない人がいないくらい、富田林の宝になっている場所なんですね。NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の撮影も行われていて、印象的なドラマの世界を作られていたあの場所なんですね、敷地も広くて、こんな通り道があるんだ、と。

歴史的建造物がたくさん保存されていると思うんですが、さらに、このエリアは大阪府唯一の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されていると聞きました。

中辻さん:大阪では唯一、オンリーワンな重要建築になります。街並みの歴史をたどると、最初はこれだけの豪商の街だったわけですから、住んでおられる方も自分たちの町を守っていかねばならないと、昭和48年・1973年に寺内町をまもる会が結成され、街並み保存をスタートされたわけです。

そのあと、危機的な事件が起こりまして、杉山家が昭和58年に売却されて分譲住宅になるということになったわけです。これは大変やということで、当時の富田林市長が1億6600万円で買い上げたわけですね。「小さな自治体の、分不相応とも言える大きな買い物は英断だった」とほめていただきまして、こうした努力があって、国の文化庁も昭和58年12月に国の重要文化財に指定したわけです。

おまり:それは守らないといけないですもんね。

中辻さん:そうですね。それを契機として、地元の住民が行政と一体となって本格的な街並みを保存していこうという機運になりまして、平成6年・1994年に新たに、「富田林寺内町をまもりそだてる会」が結成され、現在まで一生懸命街並み保存に貢献されています。平成9年10月に一部を除き「国の重要伝統的建造物群保存地区」の選定を受けて、国の補助事業として街並み保存がスタートし、現在に至っています。

後の平成30年、富田林寺内町の全域が重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。600棟の建物が残っていて、そのうちの221棟が伝統的建造物、つまり江戸明治大正戦前の古い建物が残っているということで、大阪を代表する街並みであるということです。

おまり:皆さんの活動があってこそ守られてきた街並みということですね。そんな歴史的なお寺や街並みを見学するための「散策マップ」などもあると聞きました。

小田さん:はい、富田林駅前にある「きらめきファクトリー」や寺内町の町中にある「じないまち交流館」が主ですが、「展望広場」、「寺内町センター」などの施設に置いてあります。

景観としては、城之門筋は日本の道100選に選ばれている通りなので、江戸のころの風情が楽しめる場所やないかなと思います。

おまり:映画のロケ地にもなっているとのことで、写真を拝見していてもタイムスリップしたんじゃないかなって絶対思いますよね。

小田さん:そうですね。

おまり:不思議な気持ちになりそう。こんな街並み、こんな町家が立ち並ぶ通りがあったんですね。すごいです。この町家の中も見学できるそうですが…

小田さん:いろんなところができればいいんですが、町家の中を見学できるのは旧杉山家住宅だけなんです。入館料は400円が必要です。

おまり:なるほど。レトロブームがきているので行きたい人はたくさんいると思います。

他にも 立ち寄ってみたいお店がたくさんありますね!

小田さん:空き家を利用したお店や元々あるお店もあるんですが、お食事では「レイドバック」さんや「七福」さん、「さくら亭」さんとか、最近はビヤホールができて、昔、酒屋さんだったところで甥っ子さんがビールをつくり始めはって、今、かなりはやっています。

おまり:いいですね。

小田さん:あと女性だけが泊まれるお宿「泊や」さん、手作りのお店とか陶芸とか、あるいは「今昔玉手箱」といって紙の切り細工など、いろいろあります。

おまり:こんな環境でこういうお店を巡るのも本当に楽しそうですね。

ちなみに、今日来てくださった小田さん・中辻さんが活動しているボランティアガイドをお願いすることは出来るのでしょうか?

小田さん:はい、私たちボランティアガイドは、平成9年重要伝統的建造物群保存地区に選定されたときに、まもりそだてる会と市の協力を得て、3年間の養成期間を経て誕生しました。今で27年になります。ガイドを希望される場合は「じないまち交流館」へ電話をしていただいたら、受け付けをしています。

おまり:では私が「じないまち交流館」の電話番号をご案内しますね。電話番号は0721-26-0110です。FAX番号は0721-26-7271です。

では、アクセス方法詳しく教えてください。

小田さん:近鉄阿倍野橋駅から河内長野行きに乗り、富田林駅を下車。南口から駅を背にすると、真っすぐ前が「きらめきファクトリー」です。そこから徒歩10分ほどで寺内町到着です。駐車場が少ないため、出来るだけ公共交通機関でのお越しをお待ちしています。

おまり:では、最後に小田さん・中辻さんからリスナーの皆さんへメッセージ、よろしくお願いします。

小田さん:江戸から現代までの建物が立ち並ぶ、タイムスリップしたような、ゆっくりとした時の流れの中に身を置いてみてはいかがでしょうか。

おまり:本当にタイムスリップしに行きたいです。すごく癒されそうだし、歴史好きにはたまらない街並みなので、ぜひ行ってみてください。

小田さん:お待ちしています。

中辻さん:イベントのお知らせです。8月31日土曜日夕方から、富田林の風物詩となっております「寺内町燈路」があります。寺内町に約1000基の燈籠を並べて、江戸時代にタイムスリップしたような街並みの中で、そういった味わいを実感していただくイベントもありますので、ぜひ来てください。

おまり:すごく幻想的な景色になりそうですね。

小田さん:そうですね。

おまり:楽しみにしております。今日は小田さん・中辻さんに富田林市の中でも 江戸時代の町並みが残る「寺内町」についてお話を伺いました。ありがとうございました。

小田さん&中辻さん:ありがとうございました!

This article is a sponsored article by
''.