穴太寺は、705年に文武天皇の勅願により、大伴古麿が開いたと伝えられています。
本堂には3つのお厨子があり、真ん中にはお寺の御本尊である薬師如来(絶対秘仏)と、
向かって左側には札所本尊となる聖観世音菩薩立像が祀られており、どちらも秘仏です。
聖観世音菩薩は、33年に一度開帳されますよ。
札所本尊の聖観世音菩薩は“身代わり観音”として信仰され、今昔物語にも登場しています。
平安時代、丹波の国の郡司をしていた宇治宮成(うじのみやなり)が、聖観音像を彫った仏師に
お礼として自分の大切にしていた馬を与えたそう。ところが、その馬が惜しくなってしまい、
なんと仏師に矢を放って殺し、馬を奪い返してしまいました。そうして家に帰ると、聖観音像の
胸に矢が刺さり、血を流していたとのこと。急いで確認したところ、仏師は健在で、「観音様が
身代わりになられた」と悟った宮成は仏門に入り、穴太寺に聖観音を祀ったと伝えられています。
また、本堂の片隅には “なで仏”と呼ばれる釈迦涅槃像が安置されています。
明治時代、1896年に本堂の天井裏から発見されたお釈迦様で、本堂の右脇にお布団の中に
横たわっていますよ。自分の体の悪い部分をなでると病を取り除いてくれるそう。
布団をかぶっているのは、祈りが通じて病が治った参拝者が、感謝を込めて奉納したもの。
木造の仏様で、たくさんの参拝者に撫でられ黒光りしています。
穴太寺さんは、現在のところ通常通り参拝可能ですが、状況がかわる可能性がありますので、
お出かけ前にお電話で確認されることをおすすめします。