京都市東山区にある真言宗泉涌寺派のお寺「今熊野観音寺」。824年~834年ごろ、弘法大師(空海)が唐から帰国してほどなく、東山の山中で熊野権現の化身であった白髪の翁に出会い、一寸八分の十一面観音像と宝印を託されました。弘法大師は、熊野権現のお告げのとおり一堂を建立され、自ら一尺八寸の十一面観音像を刻んで胎内に小さな観音像を納めたのが始まりとなっています。ご本尊は秘仏で、毎年9月21日~23日に開帳されます。
ご本尊は「頭の観音さま」としても親しまれ、平安末期、激しい頭痛に悩まされていた後白河法皇は、頭痛封じの観音様として評判の高かった今熊野観音寺に祈願され、夢枕に観音様が現れると、長年苦しんでいた頭痛がたちまち治ったという霊験記があります。それ以来、法王は今熊野観音を「頭痛封じの観音さま」として、天下に知らしめ、ますます篤く信仰されるようになり、今も知恵授けや頭痛封じのご利益があるとして、たくさんの信仰を集めています。
十一面観世音菩薩のご真言:おん まかきゃろにきゃ そわか