和歌山県紀の川市にある「粉河寺」は、奈良時代おわりの770年に、地元の猟師・大伴孔子古が開いたと伝わっています。国宝に指定されている「粉河寺縁起絵巻」によると、ある晩、狩猟中の大伴孔子古が地面から光が放つのを発見し、そこに庵を建てました。安置する仏像がなく困っていたところ、ふらっと現れた童姿の行者(童男行者)が一晩泊めてもらったお礼にと、七日七夜、庵にこもって金色の千手観音像を刻み立ち去ったそう。童男行者はこの千手観音の化身だった思い、大伴孔子古は殺生をやめたと伝わります。

その後、河内国(現在の東大阪市)の長者・佐太夫の一人娘が長い間、病を患っていたところ、童男行者が訪ねてきて、千手陀羅尼を唱えて祈祷し、やがて娘は回復しました。童男行者は、長者がお礼にと差し出した宝物の数々を断り、娘が捧げた箸箱と袴だけを手に「紀伊国那賀郡粉河の者だ」と告げて立ち去ったといいます。その翌年、長者一家が粉河を訪れたものの、なかなか見つけられず小川の傍らで休んでいました。ふと流れる水が米のとぎ汁のように白いのに気づき「粉河の証」であることを確信。その川をさかのぼり、庵を発見することができました。扉を開けると千手観音が安置され、娘が差し出した箸箱と袴を持たれていたので、童男行者がこの千手観音の化身だと分かったと伝えられています。本坊の隣にある「童男堂」には、童男行者が祀られており、毎年1回、12月18日の1日だけ御開帳されています。

粉河寺の御本尊は、絶対秘仏の「千手千眼観世音菩薩」。お前立も秘仏となっているため、お目にかかることができません。本堂には、二十八部衆や風神雷神の仏像など、たくさんの仏像が祀られています。

9月16日(土)には粉河寺周辺一帯で、今年で14回目となる「粉河とうろう祭」が開催されるとのこと。14:00~20:00まで。

千手千眼観世音菩薩のご真言  「おん ばさら だるま きりく」

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